World Photographer
World Photographer 二神慎之介 Sinh Futagami
私が主とする被写体は日本最大の陸棲動物「ヒグマ」。彼等の食べるものと言えば、やはりサケが印象としては最も強いのではないでしょうか。
しかし実際はサケは彼等の食生活の中のほんの一部。草や木の実、昆虫、哺乳類等、彼等が食べるものは、非常に多岐にわたります。
そして季節やその年の豊凶に合わせ、食べ物を求めて多くのヒグマは様々な環境の中を移動しながら暮らしています。
海から山まで、時にはカヤックを漕いだり、稜線上にテントを張ったりしながら彼等の姿を追い続けてきました。
撮り続けるうちに、彼等が暮らす多様な自然環境の中で、遡上するサケの姿と河川、そしてそれらを取り巻く静かな森は、非常に魅力的な世界だと改めて思うようになったのです。私にとって水中撮影は、その世界を切り取るうえで欠かせない手段となりました。
サケの遡上は、私たち人間を含めた多くの生き物を養う巨大な生命の営みです。自然の象徴である最大の動物ヒグマ、そして我々人間。
加えて、生命の循環の根幹にいるサケの姿を克明に捉えることこそが、北海道の自然を通して、何かを語りかける写真の連なりを作品として創り上げることに繋がるのではないだろうか、と考えています。
Photography work